私は知覚に問題があります

なので感じていることを、どうか聖霊あなたに打ち明けさせてください。

わたしは認知症だという自覚がない

まだコロナの陽性の人がいて隔離されているので、

 

その居室に入る時の装備をいちいち脱ぎ着したり、

入り口が一方通行で、遠回りしないといけないし、消毒などが扱いが大変だ。

 

フロアにも他の人たちがいる中、

何度もわがままとしか思えないコールが何度もなる。

 

「朝食べてないから、早く昼食持ってきて。」

催促のコールが鳴る。

 

私一人でそっちも、こっちの人たちもどうやって対応しろと?

 

急いで用意し、防護服など着て行くと、

「ねーえー、このふりかけじゃなくて、これがいいんだけど。」

 

急いで戻りたいのに、話し続けられる。

頭がクリアなので、面倒。

 

引き止められ、

またすぐ持っていかないと、

 

もう食べちゃった、とか要らない、と言われる。

 

ねえ!ちょっと!って家政婦じゃねえんだよ。

訳わかんないこと言って、怒鳴ってくるな。

 

 

アルコール買いにいけないのはお前のせいだと

爺さんに、

お前が悪い、と正面切って殴りかかろうとされ、怒鳴られる。

 

対象が女だったと言いやすいので、よくある光景だけど、

今日は、本気で心で殴りかかる寸前だった。

 

死んでほしい。マジで。

 

なんなの。この人たち。

 

なんで生きてんの?

 

いい加減にしろよ。

 

一生懸命やってても、

 

家族から電話がかかってきたりして、

ちゃんと対応してんのか?みたいな、ことを言われたりする。

 

だったらお前らが連れて帰れよ。

文句あるなら、お前ら見ろよ。

 

93歳のばあちゃん。

 

訪室すると、あらぬ方向に寝ており、

ズボンとリハパン下げて、パットに尿失禁。

そのままベッドから落ちそうになって寝ていたりする。

 

重い。。

93歳。肉付きが半端ない。

 

ボディメカとかいうけど、

腰とか腕が痛い。

 

体、結構ボロボロかもしれない。

 

疲れて帰る。

 

 

怒りと、憎しみしか湧いてこない。

 

みんなを騙してる。

こんなのが、ここにいちゃまずいだろう。

 

いつもそんな感じ。

 

素通りして、早く終われ、と思ってる。

 

だから話を聞いたり話すことことがガイドかもしれないけど、

ふざけんな、としか思えない。

 

いまだに、

ここで働くことが本当にガイダンスなのか、疑っている。

 

 

そんな中、

ある新しいおばあちゃんが入ってきた。

 

トイレに誘導し、

リハパンが尿失禁していたので、履き替えるのを手伝う。

 

すると

そのおばあちゃんが、

「良かった〜〜!」と感激したような感じで、言った。

 

それほど嫌だったのか、、

我慢してたのか、、と思い、

 

「早く気づけなくてごめんなさいね。」と謝った。

 

 

トイレを出て、食席まで車椅子を押している間も、

「良かったーーー」と言い続けた。

 

「良かったですね。」と話しながら、

そこまでホッとしたのか、と驚きながら戻る。

 

食席について、

車椅子の隣に椅子を置き、

 

しばらく一緒に寄り添った。

 

本当は、やりたくなかった。

 

 

会話はしていない。

 

ただ背中に手を当てて、

隣に座っていた。

 

 

しばらく

そのおばあちゃんは、静かに泣いていた。

 

何かホッとした感じが伝わってきて、

一緒に泣いた。

 

 

ほっとしたね。。

 

 

なんで二人で泣く?

 

 

でもその時、その場で、

 

二人とも

ホッとして、安心していた。

 

 

一言も言葉を交わさなかった。

 

 

孤独で悲しんでいる私。

 

見捨てていたし、見捨てている。

 

その私を見つけてくれて、

ホッとしていたわたし。

 

ありがとう。

 

 

その後、

 

いつものように怒ってくる爺さんのおかげで、

惨めさと怒りと悲しみを感じながらも、

 

一人隔離されているコール頻回ばあちゃんのところに、

食事を持っていくことになった。

 

ゆっくり対応できる時間と状況を、

与えられたのかもしれない。

 

長時間接触しないよう言われているが、

もうどうでもええわ。

 

話を聞きながら、準備する。

 

Pトイレの処理したり、要求されたり、会話しながら

結構な時間を過ごした。

 

防護服着て、手袋2重、フェイスシールドの自分と

コロナで、パジャマでPトイレに座ってるばあちゃん。

 

肉の目には、

隔絶された二人の間に見える。

 

もともと心臓の手術をしていたり、

肉体的には慎重になる必要がある。

 

酸素吸入していて、

サチュレーションの値は毎回測る。

 

けど、いつもはもっと強気だ。

 

その強気なまま、弱音を吐く。

 

まさか自分がこんなになるとは思わなかった。死のうかと思った。

 

そんな打ち明けをきいていた。

 

 

ああ、この人、

のけものにしてたな。

 

寂しいから、職員の気をひくために、

コール連打したり、要求の嵐をぶつけてくる。

 

やったことのほとんどが気に食わないらしい。

文句ばかり言ってくる。

 

それでも職員みんな、

丁寧に対応する。

 

本当に傲慢だな。

この人にとって、コロナはいいサレンダーの機会だ。

 

そう思いながら、聞いていた。

 

 

寂しかったね。

よくがんばったね。

 

思っていることと、反対のことを話していた。

 

本当はいつも心細い、寂しいのはわかる。

 

でもここにはたくさんの人がいるので、

それにつきっきりではいられない。

 

全員、かまってちゃんなんだ。

 

最後、

心なしか、泣いていたようだった。

 

 

話ができて良かった、とは思わないけど、

あのまま今日が終わらなくて良かったと思った。

 

ありがとう。

 

家に帰った後、

去年、訪問で行ったSさんや施設にいた人たちを思い出した。

 

家に帰って、今日を振り返ると

泣けた。

 

 

無言で二人で泣いていた時、

ホッとしていたのはわたしの方だったな。

 

安らいでいたい。

 

 

苦痛だし、大嫌いなんだよ。

 

仕事にしたら、まずいだろう。

 

 

ここにいる人たちのように、自分はならないと思ってる。

 

あんたたちとは違う。

 

すでにわたしが、自分が誰なのか、

神を見失ってる認知症だという自覚がない。

 

だから、すでに同じだ。

なのに全員、わたしだとはまったく思えない。

 

 

わたしの世話をしているんだな。

 

屈辱を感じる。

 

悲しい。

 

何やってるんだろう?

 

 

わたしが誰だか思い出すため。

 

 

そのため。

 

 

全然進歩していないように感じているので、

正直、書きたくない。

 

他の人から見たら、

ファンクションなどから出遅れているように見えて、

 

情けなくて恥ずかしい。

 

でも

闇も光もとどめておかない、と感じた。

 

これも間違っているかもしれない。

 

 

ダメダメさダダ漏れで、

聖霊になさしめていただくしかない。

 

 

わたしは認知症、という自覚がない。

 

そういえば、認知症とはそういうものだった。

 

わたしがそんなはずない、できるはずだ。

できているはずだと思っている。

 

わたしが間違っているはずがない。

 

まさか、わたしが何かを見失っているはずがない。

 

幸せや平安。

 

神。

 

まさか私自身を見失っているなんて、

思ってないよ。

 

あの怒っている爺さんを思い出す。

 

 

ああ、そうか。

 

わたしも、同じか。

 

 

わたしはどうやら、重度の認知症です。

 

わたしは知覚に問題があります。

 

治療が必要です。

 

聖霊、どうか

なさしめていただきたいです。

 

そのように、治療してください。

 

治療して欲しいです。

 

助けてください。

 

病人で認知症だと自覚させてください。